1959年に発表。トランジスタを5000個使用。TOSBAC-2100の設計を流用。
1960年に東芝小向工場に納入(左)
東芝小向工場について
川崎市内、第二京浜国道沿いに小向東芝町がある。総面積20万m2の敷地にはその量産設備で世界に誇るトランジスタ工場、テレビおよび通信機関係の小向工場、そして放射線研究室などが集合している。向かって左側の第二京浜国道沿いの空地には東芝の総合研究機関である中央研究所が近く建設される。(東芝レビュー 1960年1月号)
1960年11月、TOSBAC-8335は、水力発電所用データロガーとして黒部川第四発電所に設置した装置で、内部は二つの部分に分割され、電力量自動登算装置と動作記録装置からなる。
電力量自動登算装置は、4台の発電機の電力量を取り出し、有効電力・無効電力・ダム水位などの日報表を作るものである。また6時間ごとの小計、1日の合計、その中間値を記憶させる装置として、簡易磁気テープ装置を使っている。
動作記録装置は、所内動作記録点149点を常時監視し、発電機起動やしゃ断器投入、送電線短絡などの動作を検出すれば、時刻・機器名称を記録するものである。
いくつかの現象があい次いで発生し、かつその動作順序が知りたい場合もあるので、特殊な磁心記憶装置内(コアメモリ)に覚えさせ、後に順次印字記録していくという方法をとって、順序の分解能を約1msとしている。
装置はトランジスタ約5,000個で構成され、所要電力は約500Wである。
1963年3月、四国電力 新改変電所用データ処理装置(TOSBAC-8305)は、系統変電所において、各系統別の潮流電力量を計測し、1時間ごとに記録するものである。
情報は、各系統ごとに設置した発信器付積算電力計からパルス信号として受け取り、トランジスタ式カウンタで計数する。カウンタは十進3桁のものが33組用意されている。特長は各点ごとに自由に位取りを選べることで、発信機群にいろいろのスケールのものが含まれている時に便利である。
1960年。わが国最初のマイクロプログラム制御方式のコンピュータ。京都大学と共同開発。
とにかく高速にするために並列非同期式高速演算方式、シリコン・メサ型トランジスタ、磁性薄膜記憶装置などの最新の技術をすべて取り入れた。
マイクロプログラム用の固定記憶装置はダイオードによる記憶装置を用い,可変記憶装置としてパッチボード方式およびフォトトランジスタによる独自方式を用いた画期的なもので、当時のコンピュータに比べ1桁以上の高速演算を実現した。
可変マイクロプログラムに演算用のマクロ命令を追加することで,円周率πの計算などでは,演算時間を大幅に短縮することができた。
1962年8月、萩原宏(京大)、天羽浩平、松下重悳、山内史志(東京芝浦電気)の連名で1962年8月ミュンヘンで開催されたIFIPで発表、IBMシステム360発表の以前であり、世界最高速のコンピュータとして高く評価された。
KT-Pilotの成果に基づき、1964年10月にTOSBAC-3400が商品化され,その後、京都コンピュータ学院などに納入された。
2008年に国立科学博物館の第1回未来技術遺産に選定、2013年に京都情報大学院大学(KCGI)のKT-PILOTが一般社団法人 情報処理学会の「情報処理技術遺産」に認定。
現在、東芝未来科学館に公開展示されている
1961年リリース。プロセスのオートメーション化に!
【概説】工業設備の規模が増大するにつれて、生産工程における設備の状態を監視することが非常に重要になり、データ処理装置が各種産業で取り入れられ始めた。
【しくみ】最も簡単なものは、生産工程におけるいろいろな測定点において、対応する量を測定、検出し、それを変換器によって連続した電気量に変換して処理装置に送り、一定時刻ごとに走査器を通じて順次読出してこれをA-D変換器によってデジタル量に変換して電動タイプライタで打出し記録するというものである。この際、検出されたアナログ量をあらかじめ定められた上限、下限と比較し、もしこの範囲を逸脱していれば何らかの方法によって警告を発する。さらに一歩進んで、単に測定した値をそのまま印字、記録するだけでなく、これらの値に種々の計算を行なった上で記録したり、その結果に基づいて警報を発するなどに計数形電子計算機を用いたものが、TOSBAC-3200シリーズである。また、その計算機を含めた総合データ処理装置がTOSBAC-8000シリーズである。
TOSBAC-3225およびTOSBAC-3225Aは、工業用のデータ処理装置として使用することを目標としたもので、火力・鉄鋼をはじめ各所でオンラインコンピュータとして就動している。
TOSBAC-3225の一号機は1961年6月に完成し、幾多の経験と改良を重ねてTOSBAC-3225Aへと発展した。
TOSBAC-3325
1963年リリース。2進直列式、24ビットワード、磁気コアメモリ搭載。固定小数点式。割り込み機能が強化され、優先度設定と個別のマスクが可能となっている。
TOSBAC 3300 B
TOSBAC 3300 B はTOSBAC- 3300 A をさらに発展、具体的にはラインプリンタが増設され、これと浮動小数点関係の命令が追加された。
ますます多彩になる科学技術計算を十分にこなし、プロセス制御への応用も容易にできるようにと考えられた。 科学用の計数形電子計算機である。本機の特色は小形機としての水準を抜く。組織的で融通性に富んだ命令体系と長時間の連続運転に耐える安定性である。 命令体系のよさは後に述べるプログラムの効率を良くすること結びついており、計算機の性能の向上と同等になる。
1964年
TOSBAC-3400と同磁気テープ記憶装置の調整工程(小向工場)
1972年に、京都コンピュータ学院 (日本初のコンピュータ教育機関)に納入。中型機ながら大型機並みの性能を持ち、これだけの規模の機械が学生の実習用に開放されたのは全く異例のことであった。
TOSBAC 3400 開発の思い出(KCG)
1961年
1961年
1961年
1963年
1964年
1964年
1964年
GE社との技術援助契約による最新鋭機
1964年
火力発電所用電子計算機として、1957〜1958年ごろから磁気ドラム主記憶装置とするTOSBAC-3200シリーズを開発し、いくつかの実地経験を重ねた結果、1963年ごろから磁気コアを主記憶とし、磁気ドラムを補助記憶とするTOSBAC-3300シリーズを発表し、火力用だけでなく一般産業用に実績を上げてきた。
さらに1964年にはGE社と技術提携し、そのノウハウを得ることにより、大容量、高速、小型化技術を充実することとした。これらの知識導入に加えて、エバスコと別途役務契約を結び、ソフトウェアの充実もはかっている。
GE社のGEPAC-4000シリーズを国産化したTOSBAC-7000を新たに発表した。
オンラインリアルタイム制御に特化したシステムで、リロケータブルなプログラミングが可能で、複数のプログラムをメモリ上に常駐可能とし、各種機器の制御のためにビット操作命令を強化している。また、24時間動作を考慮してRAS(信頼性、可用性、保守性)を向上させる強化も行われた。
東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編集・制作『東芝レビュー = Toshiba review』16(1)(132),東芝技術企画部,1961-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3253825 (参照 2023-11-03)
東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編集・制作『東芝レビュー = Toshiba review』18(3)(158),東芝技術企画部,1963-03. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3253852 (参照 2023-11-03)
東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編集・制作『東芝レビュー = Toshiba review』15(1)(120),東芝技術企画部,1960-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3253813 (参照 2023-11-03)
東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編集・制作『東芝レビュー = Toshiba review』20(4)(183),東芝技術企画部,1965-04. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3253877 (参照 2023-11-05)
東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編集・制作『東芝レビュー = Toshiba review』20(9)(188),東芝技術企画部,1965-09. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3253882 (参照 2023-11-03)
東芝レビュー 1960年1月号
表紙:東芝小向工場
東芝レビュー 1961年1月号
表紙:電源開発 奥只見発電所
東芝レビュー 1963年3月号
表紙:東京電力 五井火力発電所
一号機用 300MVA 主変圧器
東芝レビュー 1965年4月号
表紙:浜川崎工場の短絡発電機(世界最大級)
東芝レビュー 1965年9月号
表紙:日本電子計算機ショーに出品されたTOSBAC-5400